中山芝1600m(外) コース傾向
過去 2021-2025 / 318レース・延べ4,504頭を集計
要点:中山競馬場・芝1600m(外回り)のコース傾向を、2021-2025の318レース・4,504件のデータで分析。内枠有利・前有利・ほぼイーブンペースなど、中山マイル特有の構造を因果的に説明します。
データ更新:2026-04-20 / 当サイト独自集計
中山芝1600m(外回り)は、ダービー卿CT(G3)、ニューイヤーS(L)、京成杯AH(G3)などが組まれる関東の主要マイルコース。東京マイルとは性格が違い、短い直線・坂・タイトなコーナーという中山らしい要素が混ざる。本記事では直近5年(2021-2025)の318レース、4,504件の出走データから、「内枠有利」「前残り」「マイラーの持続力勝負」といった通説を検証する。
結論を先に述べると、内枠有利は統計的に明確(1枠9.07% ↔ 8枠4.36%)、前有利も成立、ペースは前後半ほぼイーブンで東京マイルとは別物の構造が出ている。
コース概要
- コース形態: 右回り・外回り
- 1周距離: 1,839.7m(外回り)
- 直線長: 310m(JRA中央4場で最短)
- コース全体高低差: 最大 5.3m(JRA10場で最大)/ゴール前急坂 約2.2m
- スタート地点: 1コーナー奥のポケット(コース最高地点)
- スタートから2コーナーまで: 約240m(1コーナーは通過しない)
- 通過コーナー: 2コーナー→3コーナー→4コーナー
- 2コーナーまで緩い下り、バックストレッチで約4.4m下降、ゴール前に約2.2m急坂
- 出走頭数(平均): 14.61頭
データのまとめ
このコースで実際にどんな馬が、どの位置から、どの脚質で、どの人気帯から勝っているか。表で一望する。
脚質別勝率
| 脚質 | 出走 | 勝率 | 95%信頼区間 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 逃げ | 395 | 17.47% | 14.0〜21.5% | 40.25% |
| 先行 | 1,130 | 14.16% | 12.2〜16.3% | 39.56% |
| 差し | 1,551 | 4.26% | 3.4〜5.4% | 18.05% |
| 追込 | 1,428 | 1.61% | 1.1〜2.4% | 4.83% |
枠別勝率
| 枠 | 出走 | 勝率 | 95%信頼区間 | 複勝率 | 平均4角通過順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 496 | 9.07% | 6.9〜11.9% | 25.81% | 6.95 |
| 2枠 | 514 | 8.17% | 6.1〜10.9% | 21.79% | 7.10 |
| 3枠 | 532 | 9.21% | 7.0〜12.0% | 21.99% | 6.91 |
| 4枠 | 561 | 9.45% | 7.3〜12.2% | 23.89% | 6.87 |
| 5枠 | 579 | 7.43% | 5.6〜9.8% | 21.24% | 7.59 |
| 6枠 | 592 | 5.07% | 3.6〜7.1% | 19.26% | 7.60 |
| 7枠 | 611 | 4.75% | 3.3〜6.7% | 18.0% | 7.45 |
| 8枠 | 619 | 4.36% | 3.0〜6.3% | 18.9% | 7.55 |
4 角通過順位と着順
| 4角通過順位 | 出走 | 勝率 | 95%信頼区間 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 1-3番手 | 1,158 | 16.41% | 14.4〜18.6% | 42.14% |
| 4-6番手 | 960 | 7.71% | 6.2〜9.6% | 27.08% |
| 7-9番手 | 927 | 3.02% | 2.1〜4.3% | 14.78% |
| 10+番手 | 1,459 | 1.78% | 1.2〜2.6% | 4.8% |
位置取りの効きやすさ: 強(4 角 1-3 番手の 3 着内率 42.14%、10+ 番手 4.8% — 約 37.3pt 差)。
人気別勝率
| 人気 | 出走 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 318 | 32.39% | 61.01% | 77.1% | 80.4% |
| 2番人気 | 318 | 23.58% | 49.06% | 95.3% | 82.8% |
| 3番人気 | 317 | 12.3% | 37.54% | 72.7% | 76.4% |
| 4-5人気 | 636 | 7.7% | 32.23% | 79.7% | 84.5% |
| 6-9人気 | 1,256 | 3.03% | 16.56% | 63.0% | 84.0% |
| 10-18人気 | 1,659 | 0.84% | 4.4% | 52.2% | 53.3% |
ペース傾向
318 レースのラップから集計:
- 前半 3F 平均: 35.47 秒
- 後半 3F 平均: 35.33 秒
- 差: +0.14 秒 (ほぼフラット)
- 後半が前半より速いレース比率: 51.6%
ペース別の勝ち馬の決まり脚
前半 800m 通過タイムでレースを 3 段階に分け、勝ち馬の決まり脚を見る(318 件)。基準: 平均 47.33 秒、ばらつき 1.16 秒。
| ペース | 勝者数 | 逃げ | 先行 | 差し | 追込 |
|---|---|---|---|---|---|
| ハイペース寄り | 103 | 16.5% | 47.6% | 28.2% | 7.8% |
| ミドル | 132 | 18.9% | 52.3% | 18.9% | 9.8% |
| スローペース寄り | 83 | 32.5% | 50.6% | 14.5% | 2.4% |
馬場別の傾向
| 馬場 | 出走 | 勝ち馬の脚質シェア | 勝ち馬上がり 3F 平均 |
|---|---|---|---|
| 良 | 3,522 | 先行 50.8% / 差し 21.6% / 逃げ 20.8% / 追込 6.8% | 35.43 秒 |
| 稍重 | 592 | 先行 51.2% / 逃げ 26.8% / 差し 17.1% / 追込 4.9% | 36.02 秒 |
| 重 | 304 | 先行 52.4% / 逃げ 19.0% / 差し 19.0% / 追込 9.5% | 36.96 秒 |
| 不良 | 86 | 追込 33.3% / 逃げ 33.3% / 差し 16.7% / 先行 16.7% | 37.41 秒 |
クラス別 勝ち時計の基準
クラス別の勝ち時計を 5 年分(2021-2025)の集計から。目の前のレースの勝ち時計を、平均と比べて「楽だったか・揃ったメンバーだったか」の判断材料に。表記は分:秒.1。
| クラス | 件数 | 最速 | 平均 |
|---|---|---|---|
| 新馬・未勝利 | 183 | 1:32.0 | 1:35.2 |
| 1 勝クラス | 45 | 1:32.4 | 1:34.5 |
| 2 勝クラス | 21 | 1:32.0 | 1:34.0 |
| 3 勝クラス | 24 | 1:31.8 | 1:33.7 |
| リステッド | 20 | 1:32.3 | 1:34.0 |
| 重賞 | 25 | 1:30.8 | 1:33.0 |
新馬・未勝利クラスの年次推移
| 年 | 件数 | 最速 | 平均 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 36 | 1:33.4 | 1:35.7 |
| 2022 | 36 | 1:33.1 | 1:35.6 |
| 2023 | 36 | 1:32.8 | 1:35.4 |
| 2024 | 37 | 1:32.6 | 1:34.6 |
| 2025 | 38 | 1:32.0 | 1:34.6 |
種牡馬上位
※ 出走が少ないほど勝率・複勝率は揺らぎやすい(出走 20 程度だと 1 件のブレで複勝率が ±5pt 動く)。サンプル数も合わせて読む。
| 種牡馬 | 出走 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| グレーターロンドン | 29 | 17.24% | 51.72% |
| レイデオロ | 30 | 13.33% | 40.0% |
| シルバーステート | 131 | 11.45% | 37.4% |
| ディーマジェスティ | 44 | 11.36% | 34.09% |
| ディープインパクト | 109 | 18.35% | 32.11% |
| ロードカナロア | 223 | 12.11% | 31.84% |
| キズナ | 120 | 11.67% | 31.67% |
| ハービンジャー | 107 | 4.67% | 29.91% |
| ブリックスアンドモルタル | 37 | 10.81% | 29.73% |
| リーチザクラウン | 27 | 0.0% | 29.63% |
騎手上位
※ 集計期間(2021-2025)中の累計のため、現役引退済みの騎手も含まれる場合があります。
| 騎手 | 騎乗 | 勝率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|
| モレイラ | 19 | 26.32% | 63.16% |
| 川田将雅 | 21 | 4.76% | 47.62% |
| ルメール | 125 | 22.4% | 43.2% |
| マーカン | 35 | 20.0% | 42.86% |
| M.デム | 83 | 19.28% | 42.17% |
| 戸崎圭太 | 180 | 15.56% | 38.89% |
| キング | 16 | 12.5% | 37.5% |
| 岩田望来 | 23 | 8.7% | 34.78% |
| 横山武史 | 181 | 15.47% | 33.15% |
| 坂井瑠星 | 25 | 4.0% | 32.0% |
なぜこの傾向が出るのか
中山芝1600m(外回り)は、右回り外回り、直線 310m + 2.2m 急坂。スタート後すぐ 1 コーナーで、内枠先行勢がそのままポジションを保ちやすい。
勝ち馬は先行〜中位差しの折り合い型で、4 角 3-4 番手・上がり 3F 中庸が典型。短い直線+急坂で瞬発力特化型は届かず、コーナリング技術と持続力が問われる。朝日杯フューチュリティでもこの傾向が見られる。
通説検証
このコースの主要通説をデータで検証する。判定の全体像:
| 通説 | 判定 | 結論 |
|---|---|---|
| 内枠有利 | ✓ | 明確に成立 |
| 先行・逃げ有利 | ✓ | 成立、ただし差しも一定健闘 |
| ペースは東京マイルと違う | ✓ | ほぼイーブンで持続力勝負 |
| 外枠は距離ロスで不利 | ✓ | 成立(通説1の裏返し) |
| 持続力型マイラーが向く | ○ | 上がり34秒台のバランス型 |
| 種牡馬傾向 | ○ | 多様、現役中心 |
| 馬場が渋ると前残り | △ | 傾向はあるがサンプル少 |
通説1: 内枠有利 → ✓ 明確に成立
枠番別の勝率・複勝率:
1-4枠の勝率 8-9% ↔ 6-8枠の勝率 4-5%、およそ2倍の差。1枠と8枠の信頼区間は重ならない(1枠の下限 6.9% > 8枠の上限 6.3%)、偶然とは考えにくい明確な差。
複勝率でも 1枠 25.81% ↔ 8枠 18.90% で 7ポイント差。中山マイルの「内枠有利」は、通説そのままの形でデータに出ている。
因果を追う: 4コーナー通過順位
1-4枠は平均6.87-7.10で前目、5-8枠は7.45-7.60で後方。0.5順位以上の差があり、外枠ほど後方になる傾向が明確。スタートから3コーナーまでが短く、外から被せていくには距離が足りないため、外枠は必然的にポジションを落とす。
脚質発現率でも裏付け
| 枠 | 逃げ | 先行 | 差し | 追込 |
|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 13.1% | 23.4% | 34.1% | 29.4% |
| 4枠 | 8.7% | 28.9% | 34.2% | 28.2% |
| 8枠 | 7.8% | 23.3% | 34.9% | 34.1% |
逃げ率は内枠ほど高い(1枠13.1% → 8枠7.8%)が、差の大きさは中山ダ1800やダ1200ほどではない。先行率は4枠にピークがあり、「内すぎても外すぎても先行しづらい」中間的な傾向。追込率は外枠ほど高い(1枠29.4% → 8枠34.1%)、外枠が後方に回されている構造。
通説2: 先行・逃げ有利 → ✓ 成立、ただし差しも一定健闘
脚質別:
逃げ・先行の勝率 14-17% ↔ 差し 4.26%。前有利は明確だが、中山ダ1200(逃げ23.8%)や同芝2000内(逃げ13.65%)と比べると、逃げと先行の差が小さいのが特徴。
4 角通過順位(位置取りの効きやすさ: 強)
4角3番手以内で勝率16.41%、10番手以降で1.78%。前に行けるほど有利は鉄板の構造。
通説3: ペースは東京マイルと違う → ✓ ほぼイーブンで持続力勝負
- 前半3F平均: 35.47秒
- 後半3F平均: 35.33秒
- 差: +0.14秒(前後半ほぼイーブン)
- ハイペース(前半>後半)のレース比率: 51.6%
中山芝2000内(前傾差 +0.67秒、ハイペース69%)や中山ダ1200(−3.37秒、ハイペース0%)と比べ、中山マイルは前後半ほぼ同じラップで推移する。これは東京マイル(一般にハイペースが多い)とは逆の傾向。
勝ち馬の上がり3F 平均は 34.86秒、中央値 34.8秒。瞬発力勝負一辺倒ではないが、34秒台を出せないと苦しい水準。
通説4: 外枠は距離ロスで不利 → ✓ 成立(通説1の裏返し)
通説1で示した枠別勝率と4角通過順位が、そのまま外枠不利の裏付け。外枠は最初の3コーナーまでに内ラチ沿いに入れず、外々を回らされて位置を取れない。
ただし極端な大外8枠でも、勝率4.36%・複勝率18.90% は機能不全というほどではない。「外枠はやや割引、内枠は加点」くらいの温度感で見るのが現実的。
通説5: 持続力型マイラーが向く → ○ 上がり34秒台のバランス型
上がり3Fの分布:
| 上がり3F | 勝ち馬 | 全馬 |
|---|---|---|
| 平均 | 34.86秒 | 35.65秒 |
| 中央値 | 34.8秒 | 35.5秒 |
| 10%点 | 34.0秒 | 34.3秒 |
| 90%点 | 35.8秒 | 37.2秒 |
勝ち馬の上がり中央値 34.8秒は、東京マイル(一般に33秒台後半〜34秒前半)より遅め。ただし中山芝2000内(勝ち馬 35.26秒)よりは速く、瞬発力と持続力の中間という位置付け。
通説6: 種牡馬傾向 → ○ 多様、現役中心
中山芝2000内(引退・死亡の大御所中心)とは違い、現役種牡馬が多く並ぶ。特筆すべきは ロードカナロア 出走 223 のサンプル量で、安定して 30% 超の複勝率。ディープインパクト系とキンカメ系(ロードカナロア)が両輪、そこに欧州系(ハービンジャー)が混じる構成。
通説7: 馬場が渋ると前残り → △ 傾向はあるがサンプル少
稍重で逃げ率が20.8% → 26.8% と上昇する程度。重・不良はサンプルが少なく結論保留。時計は馬場悪化で約2秒遅くなるが、脚質バランスはそれほど大きく動かない。
総括
中山芝1600m(外回り)は、数字の上で次のように特徴づけられる:
- 内枠有利が明確(1枠 9.07% ↔ 8枠 4.36%、偶然とは考えにくい)。東京マイルとは真逆の構造
- 先行・逃げ有利だが、ダ系に比べればマイルドで、差しも一定健闘(4.26%)
- ペースは前後半ほぼイーブン(差 +0.14秒、ハイペース率52%)、極端なハイペースにはならない
- 持続力と瞬発力のバランス型、上がり34秒台が勝負の目安
- 種牡馬はロードカナロア・ディープ系・キズナが中心、サンプル最大のロードカナロアが 30% 超で安定
端的には、「内枠の前目から、34秒台の上がりで抜け出す」のが勝ちパターンのコース。東京マイルのような切れ味一辺倒の馬には向かず、中山らしい持続力寄りのマイラー向き。
集計条件
- データ期間: 2021-01-01 〜 2025-12-31
- 対象: 中山競馬場 芝1600m 外回り(全318レース)
- 延べ出走データ: 4,532(有効: 4,504。競走中止・降着・未確定は除外)
- 回収率: 100円ベット換算(そのグループに等額投票した場合の平均リターン。100%で収支トントン)
- 信頼区間: 95% ウィルソン信頼区間
- サンプル注意: 出走 50未満の層別集計は参考値
- 注意: 本コースは1・2コーナーを通過しないため、1角通過順位は算出していない
- 集計日: 2026-04-20
- データソース: JRA で開催されたレースの公開成績(独自集計)
免責
本記事は JRA で開催されたレースの公開成績を独自に集計・分析したものであり、特定の馬券・予想を推奨・勧誘するものではありません。最終的な馬券購入の判断はご自身の責任でお願いします。馬券購入は20歳以上のみ可能です。本サイトは日本中央競馬会(JRA)および JRA-VAN とは一切関係ありません。
勝率・回収率・信頼区間などの定義は集計の考え方にまとめています。
