地方競馬のニュースでひときわ大きく扱われる南部杯やかしわ記念。レース名の横には「JpnⅠ」という見慣れない記号がついています。これが交流重賞(ダートグレード競走)——地方競馬とJRA(中央競馬)の垣根を越えて、全国のダートの強豪が集まるレースです。
ふだんの地方競馬とは何が違うのか、「地方重賞」とはどう区別すればいいのか、そしてなぜ中央の「GⅠ」と表記が違うのか。この記事では、交流重賞のしくみを初めての方向けに整理し、現在行われているJpnⅠ全12レースを一覧で紹介します。
交流重賞(ダートグレード競走)とは
交流重賞とは、地方の競馬場で行われ、JRA所属馬にも出走枠が開かれているダートの重賞のことです。正式には「ダートグレード競走」と呼ばれ、競馬ファンの間では「交流重賞」「ダートグレード」「交流G」などの呼び名が混ざって使われますが、指しているものは同じです。
格付けは上からJpnⅠ・JpnⅡ・JpnⅢの3段階。中央のGⅠ・GⅡ・GⅢと同じ考え方で、数字が小さいほど格が高くなります。当サイトのデータベースでは、直近1年に開催された交流重賞は全国で45レース(JpnⅠ 12・JpnⅡ 12・JpnⅢ 21)でした。
ポイントは、あくまで地方競馬のレースだということ。主催するのは地方競馬の主催者で、舞台も大井や船橋、盛岡といった地方の競馬場です。そこにJRA側の出走枠が設けられ、中央のダート実績馬が遠征してくる——「交流」の名前はここから来ています。地方所属馬にとっては、ホームで中央の強豪に挑む晴れ舞台でもあります。
地方重賞との違い
地方競馬の重賞には、交流重賞のほかに地方重賞があります。こちらは各競馬場・各地区が独自に行う重賞で、直近1年では248レース。数のうえでは地方重賞のほうが圧倒的に多く、地方競馬の日常を支えているのはこちらです。違いを整理すると次のとおりです。
| 交流重賞(ダートグレード) | 地方重賞 | |
|---|---|---|
| 出走できる馬 | JRA所属馬+地方所属馬 | 地方所属馬が中心 |
| 格付け | JpnⅠ〜JpnⅢ(全国統一) | 主催者ごと(全国統一の格はない) |
| 本数(直近1年) | 45レース | 248レース |
| メンバー | 全国のダートのトップクラス | その競馬場・地区のトップクラス |
| 馬券 | どちらも普段の地方競馬と同じように買える | |
最大の違いは出走できる馬です。交流重賞にはJRAのダート実績馬が参戦してくるため、メンバーのレベルは地方重賞より一段上がります。では「JRAから来た馬は地方でどれくらい強いのか」「強いのは分かるとして、馬券の妙味はあるのか」——ここは印象で語らず、数字で見るのがヨミウマ流。中央(JRA)から地方に来た馬は買えるのかで、JRA実績馬の実力と馬券妙味をデータ検証済みです。
いっぽうで地方重賞が「格下」というわけではありません。地元の看板馬どうしの対決や、その競馬場ならではのコース適性が問われる面白さは地方重賞ならでは。交流重賞が「全国大会」、地方重賞が「地区の頂上決戦」とイメージすると分かりやすいでしょう。
GⅠとJpnⅠ、表記が違う理由
「中央はGⅠなのに、なぜ地方はJpnⅠ?」——これは格付けのルールによるものです。ざっくり言うと、「G」は国際的な基準を満たしたレースにだけ使える表記で、外国馬の出走条件などの要件があります。それ以外の国内向けの格付けには「Jpn」を使う、という整理になっています。
交流重賞の多くはこの国際要件を満たしていないため、GⅠではなくJpnⅠと表記されます。「Jpnだから格落ち」という意味ではなく、あくまで表記上のルールの違いです。なお、地方の競馬場で行われるレースでも国際基準を満たして「GⅠ」を名乗るものがごく一部あり、大井の東京大賞典がその代表例です(そのため次のJpnⅠ一覧には含まれていません)。深入りすると複雑なので、「地方の大レースはだいたいJpn表記、例外的にGⅠもある」と覚えておけば十分です。
現在のJpnⅠ一覧(全12レース)
交流重賞の頂点、JpnⅠは現在12レース。世代の頂点を決める一戦から、距離ごとのダート王決定戦まで、地方競馬の1年はJpnⅠを軸に回っていると言っても大げさではありません。レース名から、それぞれの過去の傾向データ(人気・枠・脚質・配当)に飛べます。
| 時期 | レース名 | 競馬場 | 距離 |
|---|---|---|---|
| 4月ごろ | 川崎記念 | 川崎 | 2100m |
| 4月ごろ | 羽田盃 | 大井 | 1800m |
| 5月ごろ | かしわ記念 | 船橋 | 1600m |
| 6月ごろ | 東京ダービー | 大井 | 2000m |
| 6月ごろ | さきたま杯 | 浦和 | 1400m |
| 7月ごろ | 帝王賞 | 大井 | 2000m |
| 10月ごろ | ジャパンダートクラシック | 大井 | 2000m |
| 10月ごろ | 南部杯 | 盛岡 | 1600m |
| 11月ごろ | JBCスプリント | 船橋 | 1000m |
| 11月ごろ | JBCレディスクラシック | 船橋 | 1800m |
| 11月ごろ | JBCクラシック | 船橋 | 1800m |
| 12月ごろ | 全日本2歳優駿 | 川崎 | 1600m |
※ 時期・競馬場・距離は直近開催時点のもの。持ち回りで競馬場が毎年変わるレース(JBCの各競走など)もあります。
JpnⅡ・JpnⅢ、そして248レースの地方重賞も含めた全体は、重賞カレンダーで月別に一覧できます。「今週はどこで何があるか」を眺めるだけでも、地方競馬の1年の流れがつかめます。
交流重賞の楽しみ方
交流重賞のいいところは、特別な手続きが何もいらないことです。JRAの馬が走っていても、あくまで地方競馬のレースなので、馬券は普段の地方競馬と同じ。楽天競馬などのネット投票でそのまま買えますし、券種も単勝から3連単まで通常どおりです。はじめての方は楽天競馬の始め方ガイドからどうぞ。
予想の観点では、交流重賞は「JRA勢と地方勢の力関係」「遠征馬とホームの馬」という普段のレースにはない読みどころが加わります。各レースのページには過去開催の決着傾向(何番人気で決まりやすいか・どの脚質が勝っているか)をまとめているので、気になるレースの傾向を眺めてから馬券を組み立てるのがおすすめです。そして当日は、AIが全レースを機械的に評価するヨミウマのAI予想も判断材料のひとつにしてください。
まとめ
交流重賞(ダートグレード競走)は、地方の競馬場にJRAの強豪が集まる、ダートの全国大会。格はJpnⅠ〜Ⅲで、直近1年では45レースが行われ、頂点のJpnⅠは12レースあります。地方所属馬中心の地方重賞(248レース)とは出走できる馬とレベル感が違いますが、馬券の買い方はどちらも普段どおりです。
まずは重賞カレンダーで直近の交流重賞を見つけて、過去の傾向データを一度眺めてみてください。「名前は聞いたことがある大レース」が、データで見るとぐっと身近になるはずです。
よくある質問
Q. 「交流重賞」と「ダートグレード競走」は同じ意味ですか?
A. ほぼ同じ意味で使われます。正式名称が「ダートグレード競走」で、JRA所属馬と地方所属馬が交流して走ることから「交流重賞」と呼ばれています。この記事でも同じものとして扱っています。
Q. JpnⅠとGⅠは何が違うのですか?
A. 格付けの表記ルールの違いです。「G」は国際的な基準を満たしたレースにだけ使える表記で、それ以外の国内向け格付けは「Jpn」を使います。レースの重みが違うわけではなく、交流重賞の頂点はJpnⅠです。
Q. 交流重賞で地方の馬はJRA勢に勝てるのですか?
A. 簡単ではありませんが、地方所属馬が勝つ年もあります。JRA実績馬が地方でどれくらい強いのか、人気と回収率まで含めた検証は転入馬のデータ記事にまとめています。
Q. 交流重賞の馬券はどこで買えますか?
A. 普段の地方競馬と同じです。楽天競馬などの地方競馬ネット投票で購入でき、券種も単勝〜3連単まで通常どおり。券種選びに迷ったら馬券の種類の解説をどうぞ。
※ 本数・レース一覧は当サイトの重賞データベース(直近1年に開催された重賞)にもとづく執筆時点の集計です。開催時期・競馬場・格付けは変更されることがあります。馬券は20歳になってから自己責任で。

